2017年04月23日

映画『哭声 / コクソン』を観た

今年一番観たかった映画がようやっと長野に上陸したので、取るものも取り敢えず千石劇場さんに駆け込んできました。


『哭声 / コクソン』



映画『哭声 / コクソン』を観た







【ストーリー】
 平和な田舎の村に、得体の知れないよそ者がやってくる。彼がいつ、そしてなぜこの村に来たのかを誰も知らない。この男についての謎めいた噂が広がるにつれて、村人が自身の家族を残虐に殺す事件が多発していく。そして必ず殺人を犯した村人は、濁った眼に湿疹で爛れた肌をして、言葉を発することもできない状態で現場にいるのだ。
 事件を担当する村の警官ジョングは、ある日自分の娘に、殺人犯たちと同じ湿疹があることに気付く。ジョングが娘を救うためによそ者を追い詰めていくが、そのことで村は混乱の渦となっていき、誰も想像てきない結末へと走り出す・・・。





去年の秋ごろかな?あのナ・ホンジン監督の最新作に國村隼が出演していて韓国で大ヒットしているという噂を耳にしたのは。
ナ・ホンジン監督といえば『チェイサー』『哀しき獣』で全世界の度胆を抜いた若き天才。そんな天才の映画になぜ國村隼が?と、その第一報だけで「こりゃあもう観るっきゃねぇ!」というテンションに。

この作品で國村隼さんが韓国で最も栄誉ある映画賞を受賞(しかも2冠!)したというニュースもちょっと前に報道されていたので、この映画の存在をなんとなく知っている人も多いんじゃないかな?

そんな期待値MAXな今作の感想はといいますと・・・



???
???
???



です。
いや、つまらなかったというワケじゃなくて、むしろその逆。傑作も傑作、語り継がれるレベルの大傑作なのは間違いなくて。
じゃあなぜ?マークが9つも並んでいるかというと、ストーリーやその背景、登場人物にいたる全ての謎が謎のまま映画が終わってしまうから。

静かな村で連続する凄惨な殺人事件と、村にやってきた日本人のよそ者。ストーリーを構成するこの2つのラインは交わってやがて「ある物理的着地点」を迎えてこの映画は幕を下ろすんですが、その着地点に至った理由が観客にはほとんど説明されないままなんです。


これは決してヘタクソなワケじゃなく、もちろん監督の計算。
ほら、『2001年宇宙の旅』とか『シャイニング』(どちらもキューブリック)って映画だけを観ても分からないように作ってあるでしょ?原作や資料を当たらないと全てが理解できないようにわざと必要な説明を省いている映画。今作もそう。


断片的な状況証拠だけがスクリーンに映し出され、ボクたち観客が映画の主人公と同じ立場で「さぁ、何が善で何が邪なのかお前自身が判断してみろ」と監督に試され続ける2時間半。
例えるならば、ピースの欠けたジグソーパズルを渡された感覚。完成しないのは分かっているんだけど、欠けたピースの部分を想像力と感性で補って頭の中で完成させようと四苦八苦する、そんな映画でした。

そういう意味では、観終ってからがこの映画の本当のスタートなんだと思います。
事実、ボクの昨日からず~っとこの映画のコトばかり考えていて。監督のインタビューを漁ったり、様々な映画評論家の解説を読んだり聞いたりして、欠けたピースを補おうと必死な有様。監督の思う壺にどっぷり肩まで浸かっている状態でして。

サスペンススリラーだと思って観始めたら、ホラーになって、なんだホラーかと思って安心してたら、今度は信仰心や神の存在を問う非常に哲学的な色彩を帯びてきて。
ただでさえ二転三転する幻惑的なストーリーなのに、ピースが足りないんだもの。このパズル、どんだけ難易度高いんだよってハナシです。

ボクなりのピースができあがったら、劇場に答え合わせしにいかなきゃなこりゃ。



で、肝心の國村隼さん。
今作で國村さんが演じるのは、日本から来た怪しげなよそ者。で、実はそのよそ者は〇〇〇〇でもあり〇〇〇でもあるという、なんとも衝撃的かつ摩訶不思議な存在。
ふんどし一丁で山野を駆け巡ったかと思えば四つん這いで鹿の生肉を喰らったりと、ボクたちが知る「國村隼のパブリックイメージ」を星一徹のちゃぶ台返しの如く大胆かつアグレッシヴにひっくり返す大熱演&大怪演!

ボクらは國村隼という役者をある程度見知っているから耐性(?)があるけれど、まったく知らない韓国のお客さんたちは

「な、な、なんなんだこのオジサンはッ?!?!」


とさぞかしビックリしただろうなぁ。

なんでも韓国で『シン・ゴジラ』が公開された時に、自衛官役の國村さんがスクリーンに映った瞬間に劇場内がどよめいたそうで。
そりゃあ、あんな演技を見せられたら、他の出演作だってもう冷静には見れやしないって!





同じカテゴリー(日記)の記事画像
バリバリバリ!ダブルピーチ!
インフル有罪と馴染みの担々
レッドデータな昭和のプリン
映画落穂拾い
失われた時を求めて
絶品麻婆、死して屍拾う者なし!
同じカテゴリー(日記)の記事
 バリバリバリ!ダブルピーチ! (2018-03-02 23:48)
 インフル有罪と馴染みの担々 (2018-02-27 23:31)
 レッドデータな昭和のプリン (2018-02-25 22:26)
 映画落穂拾い (2018-02-24 11:11)
 失われた時を求めて (2018-02-19 23:55)
 絶品麻婆、死して屍拾う者なし! (2018-02-17 22:45)

Posted by miroku at 23:53│Comments(6)日記映画
この記事へのコメント
miroku様

面白そうな映画ですね!
私好みだと思います。
観たい!!

DVDレンタルを待ちます( TДT)

Hosomimi(=^ェ^=)
Posted by HOSOMIMIGARDEN at 2017年04月24日 09:56

すみません。追伸でございます_(._.)_

「國村隼 様」 渋くてカッコいいですよね!!(*ノ▽ノ)

Hosomimi(=^ェ^=)
Posted by HOSOMIMIGARDEN at 2017年04月24日 09:57
Hosoっぱちさん、こんばん~

うん!この映画、絶対にHosoっぱちさん好みだと思う。
グロいしえげつないし後味もかなり最悪なんだけど下品じゃないし、観終った後に様々な感情がお腹の底の方に渦巻いてモヤモヤする感覚も不思議と心地良かったりします。

レンタルはまだもうちょっと先になるかとは思うけど、期待してもよいかと。
その期待、裏切りませんぜダンナ!(誰だよ?)
Posted by mirokumiroku at 2017年04月24日 22:54
Hosoっぱちさん、またまたこんばん!

國村隼さん、いいよね~。
渋さの中にも優しさやお洒落な雰囲気があって、この人が画面に登場するとちょっと目が離せなくなる独特な存在感がメチャメチャ格好良いなぁと。

ってか、渡瀬さんといい國村さんといい、Hosoっぱちさんってもしかして枯れ専???
Posted by mirokumiroku at 2017年04月24日 23:02
mirokuおやびん。

私は…
渋い俳優さんが好きみたいです。

遠藤憲一様とか
橋爪功様とか
サスペンスの片岡鶴太郎様とか
今は亡き、いかりや長介様の演技も好きだったのですよ~。

今、思い付いたのはこの俳優さん達ですね。

女優さんは、
満島ひかり様とか演技、すごいなー!と思います。
(*ノ▽ノ)
外国だと
シアーシャ・ローナン様が好きです。

いるだけで、存在感と安心感のある俳優さんが好きですね(*ノ▽ノ)♡

また、エンドレス的なコメントをすみません。
Hosoっぱちより(*ノ▽ノ)
Posted by HOSOMIMIGARDEN at 2017年04月25日 09:07
Hosoっぱちさん、こんばん~

エンケンさんも橋爪功さんもカッコいいもんね~
橋爪さんだったら、ボクは「京都迷宮案内」が好きだったなぁ。
正直いって地味なストーリーではあるんだけど、じんわり感じる温かさのあるドラマだったと思う。もう新作は作られないのかな・・・

シアーシャ・ローナンかぁ。『ブルックリン』では賞を総なめしたし、これから大注目の女優さんだよね。
彼女だとボクは『グランド・ブタペスト・ホテル』で演じていた主人公の奥さん役が印象深いなぁ。

と、こんな楽しい映画話ができるのもHosoっぱちさんならではなので、これからもエンドレスコメどんと来い!
Posted by mirokumiroku at 2017年04月26日 23:42
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。