2017年12月17日

映画落穂拾い

いよいよ公開されましたなぁ、『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』
今、宇多丸師匠の最後のジェダイ評をradikoで聴きながらコレを書いているんですが、、、う~ん、どうしよう(困惑)

本当なら今夜観に行こうと思っていたんですが、ネットで予約しようとグラシネのHPにアクセスしたトコロ、そのあまりの混雑っぷり断念。
熱狂がもう少し収まったあたりで観に行こうかなと思っていたんだけど、これは真偽の程を確認しに早々に観に行かねば。。。


というワケで、そんな遠い昔に遥か彼方の銀河系で行われた宇宙戦争とは一切関係なく、北信の片隅にて毎度お馴染みの落穂拾い。今回は2本まとめて。





『否定と肯定』



映画落穂拾い







【ストーリー】
 1994年、イギリスの歴史家デビッド・アービングが主張する「ホロコースト否定論」を看過することができないユダヤ人女性の歴史学者デボラ・E・リップシュタットは、自著の中でアービングの説を真っ向から否定。アービングは名誉毀損で彼女を提訴するという行動に出る。
 訴えられた側に立証責任があるイギリスの司法制度において、リップシュタットは「ホロコースト否定論」を崩す必要があった。そんな彼女のために組織されたイギリス人大弁護団によるアウシュビッツの現地調査など、歴史の真実の追求が始まり、2000年1月、多くのマスコミの注目が集まる中、王立裁判所で歴史的裁判が開廷した…。




否定と肯定、このタイトルだと新婚さんいらっしゃいに出てくるYES・NO枕を連想してついついエロい映画かと錯覚してしまいがちだけど(そんなのオメェだけだよ!)、上に貼ったストーリーを読んで頂ければ一目瞭然、エロとは真逆の至って真面目な映画です。

自らの歴史観や主義主張の為に意図的に資料を改ざんし事実を捻じ曲げようとする歴史改竄主義はなにもこの映画の中だけの存在ではなく、、、というか、ネット上にはもううんざりするほどに彼らが発した言葉の数々が溢れかえっています。
偏った愛国心を振りかざしてはやれ南京虐殺はねつ造だとか、関東大震災時に主に朝鮮系の人々に対して振るわれた不当な暴力(はっきり書いてしまうと虐殺)はデマだのと。
そのくせ、ここではちょっと書けないくらいに悪辣かつ下品で恥知らずな言葉で隣国の人々を嘲笑するいわゆるネトウヨの言動は、今作に登場するアービングの姿に重なります。

もちろん、政府やメディアが発信する情報をそのまま盲信することほど危険なことはないし、そもそも正義や価値観なんて時代や状況によって千変万化する危うさを常にはらんではいます。
けれど、実際に起こった出来事はどんなに時が経とうとも、どんなに人間の有り様が変わろうとも覆せやしないし、そこで失われてしまった生命は帰ってはこない。その事実こそが「真実」なんだと思います。

自分勝手な思想信条の為に真実に目を瞑るどころか改竄しようとするその行為は、死者に対する冒涜であり未来への裏切り以外の何ものでもないとボクは考えるし、昨今世界に蔓延しつつある不寛容さとも繋がる深刻な危機のひとつでもあるような気がします。
そんな意味に於いて、今作は今観るべき映画だと思います。世に溢れるその手の妄言に振り回されない為にも。

・・・と、いつになく大上段からの物言いになっちゃった、ゴメン。






『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』



映画落穂拾い







【ストーリー】
 静かな田舎町で児童失踪事件が相次いで起きていた。内気な少年ビルの弟が、ある大雨の日に外出し、おびただしい血痕を残して姿を消した。自分を責め、悲しみにくれるビルの前に現れた「それ」を目撃して以来、ビルは「それ」の恐怖にとり憑かれてしまう。不良少年たちからイジメの標的にされている子どもたちも、自分の部屋、学校、町の中など何かに恐怖を感じるたびに「それ」に遭遇していた。「それ」の秘密を共有することとなったビルと仲間たちは、勇気を振り絞り、「それ」と立ち向かうことを決意するが…。




泣く子も黙るモダンホラーの巨匠、スティーブン・キングの傑作小説の再映像化の今作は、『シックス・センス』の記録を抜いてホラー史上ナンバー1というなんとビックリ超特大のホームランメガヒット!
原作を読んだのはもう遥か昔だけど、「殺人ピエロのお話かと思ったら、ラブクラフトみたいなコズミックホラーじゃんこれ!」的な後半のビックリ展開が最高に楽しかったのを覚えていて、今作も密かに期待をしていたんだけど、、、


うんうん、こりゃあ大ヒットするわな♪


と大納得の傑作でした。


本作はホラーというよりはダークファンタジー寄りな作風になっていて、青春前夜の思春期入口な子供たちが街を覆う邪悪な影に立ち向かうという、ある意味王道展開な燃えて泣かせる仕様になっております。
気弱なもやしっ子たちが勇気を奮い立たせて立ち上がる姿や凛々しく成長するその様はホラー版『グーニーズ』な趣きがあって、少年時代の郷愁が胸に溢れてくるようなシーンは同じキング原作の『スタンド・バイ・ミー』を彷彿とさせて、恐怖や怖さだけじゃないいわゆる「普通の映画の楽しさ」に溢れているのか大ヒットの大きな要因なんじゃないかなと。

じゃあ怖くないのかというと、さにあらずんば虎児を得ず。
しっかり、ちゃんと、堂々と怖い!

冒頭、主人公の弟が邪悪な存在と戯れるシーンのその禍々しさと哀しさ、そして張り裂けんばかりの痛々しさはちょっと筆舌に尽くしがたいほど。間違いなくここ数年のホラー映画の中でも屈指の名シーンだと思います。


殺人ピエロことジョン・ウェイン・ゲイシー、、、もといペニー・ワイズを演じるのは、新進気鋭のイケメン男子ビル・スカルスガルド
最初に彼がペニー・ワイズを演じると聞いた時には、「え?なんであんなイケメンが?!?!」とかなり驚いたもんです。だってさ、イケメンの売れっ子俳優が演る役じゃないでしょ、気狂い殺人ピエロなんて。
でも、これがドンピシャなキャスティング!

邪悪なんだけどご陽気で、途轍もなく恐ろしいんだけどユーモラス。そんな地獄の道化師(by江戸川乱歩)を全身全霊を込めて演じているスカルスガルドのなんと楽しそうなことか!
四肢をごにゃごにゃとコミカルに動かしながらも、目が圧倒的に怖いんだよねぇ。
『ダーク・ナイト』のヒース・レジャーの目には狂気が宿っていたけれど、今作のスカルスガルドの目には狂気というよりは「無」。その眼の奥には真っ黒な空虚が広がっていました。


子役たちもスゴかった!
物語をリードする大人は誰一人として登場しない物語なので、全てを決するのは子役たちの演技にかかっているといっても過言ではないんですが、そんな心配は無問題。
「あれ?この子ってあの映画のあの子だよね」というスター子役たちが大挙登場しているので、ヘタな大人なんかよりもよっぽど芸達者で安心感たっぷりでした。
このあたりの層の厚さが流石ハリウッドなんだよなぁ。


あのクソ、、、もといウンチ長い原作が2時間ちょっとで収まるワケがなく、今作は第一章となります。
超特大の大ヒットなので、当然第二章が製作されるでしょう。
原作を知る者としては嬉しい反面、今作の子役たちの活躍があまりに素晴らし過ぎたので、「この子、成長した第二部では〇〇じゃうんだよなぁ・・・」とオジサン哀しくなっちゃった(涙)

あと、原作で大きな意味を持つある動物が様々なカタチやモチーフで映画内に登場していて、これもちょっとしたワクワクポイントでした。

というワケで、これを読んでるとらうささんは今すぐ劇場に走るコト!(命令)
で、ほそっぱちさんはレンタルが開始されたら即刻祭りを開催するコト!(指令)



以上、「明日はスター・ウォーズ混んでっかなぁ、、、うん、混んでるよなやっぱ・・・」な映画落穂拾いでしたとさ。







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Posted by miroku at 00:01│Comments(2)日記映画
この記事へのコメント
おやびん!ラジャー( ロ_ロ)ゞ

ITは、前にもピ エ 口 のジョンウェイゲイシーの映画がありましたよね?
それの、リメイクですか?
IT観たいですー!

mirokuおやびんは、スターウォーズをマスターしてますか?
私は…途中で…わからなくなってしまって(;^_^A

最初に作られたのが、真ん中の時代背景で、ナタリーポートマンが出演していたのが、最初の話で?
・・・こんがらがってしまいました!

ほそっぱちより。( ロ_ロ)ゞ
Posted by HOSOMIMIGARDEN at 2017年12月17日 08:27
ほそっぱちさん、こんばん~

ITは以前にも映像化されていて、今回はリメイクというよりは原作をより現代的にアレンジした再映画化って感じかな。
リアルに怖いよくできた映画なので、レンタルになったら観てみてね~

スター・ウォーズ、ボクはマニアって程ではないけれどそれなりには好きだったりします。まぁ、ある意味「特別な映画」だしねぇ。

うん、公開順と時系列が合ってないから、そこら辺が分かりづらいかも?

70年代に公開された最初の三部作が物語の真ん中にあたるエピソードの4・5・6で、90年代~2000年代に公開された三部作が物語の最初にあたるエピソード1・2・3。
で、現在進行形の三部作エピソード7・8・9で物語は一応の締めくくりになる、、、はずだったんだけど、これからも続々と物語が作られるのが確定しているという(汗)

・・・って、長文コメでゴメン。
Posted by mirokumiroku at 2017年12月19日 22:53
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