2016年07月05日
映画落穂拾い
アッバス・キアロスタミが亡くなったとの報が。
「エネルギッシュで元気な爺さん」というイメージがボクの中では強かったんだけど、まだ76歳だったとは・・・
映画監督としては、まだまだ若すぎる死。
昨日はマイケル・チミノの訃報も。
今年は大御所やスターが次々と旅立っていくなぁ。。。
と、ハナシが湿っぽい方向に流れる前に、軌道修正。
映画監督繋がりで、毎度お馴染み落穂拾いなんかをば。

【ストーリー】
面白グッズを売り歩く冴えないセールスマンコンビのサムとヨナタン。面白グッズはなかなか売れないが、その際に彼らは、様々な人生を目撃する。
臨終の床の老女は、天国に持って行くために宝石の入ったカバンを死んでも放さない。フェリーの船長は、船酔いするため理容師に転職。現代のバーに突然現れるスウェーデン国王率いる18世紀の騎馬隊などなど・・・何をやっても上手くいかない人たちの哀しくも可笑しな人生模様を目の当たりにする。
このタイトルから想像できるハードなSFアクションとは180度真逆な、なんとも摩訶不思議な味わいのコメディー。
登場人物の全ては、「何かに困っている」人たちばかりで、仕事や恋愛などなど、思うように好転しない人生に疲れ切っているんだけど、その様子を上から目線で笑うんじゃなく、この映画はその哀しみに寄り添っているんだよね。
寄り添って、「なんか上手くいかない人生だけど、とりあえず笑っとこっか」と微笑んでくれる、そんな映画でした。
『アノマリサ』

【ストーリー】
カスタマーサービス界で名声を築き、本も出版しているマイケル・ストーン。私生活でも妻子に囲まれ恵まれた人生を歩んでいるかに見えたが、本人は自分の退屈な日常に不満を募らせていた。
そんなある日、講演をするためシンシナティーを訪れたマイケルは、そこでリサという女性に出会う。長い間、すべての人間の声が同じに聞こえていたマイケルは、「別の声」を持つ彼女と特別な夜を過ごすが…。
変人(ヘンな映画ばかりを作る映画人)でお馴染みのチャーリー・カウフマン最新作は、全編ストップモーションアニメの人形劇!
人生の不条理や愛を問うこの映画の注目ポイントはなんと、、、ベットシーン。
オフザケ極右人形劇『チーム☆アメリカ』でもパペットのベットシーン(というかド下品なファックシーン)が話題になったけれど、今作のそれは大真面目。
人形の動きから衣服の乱れ方、ベットのきしみの細部に至るまで徹底的に「リアル」こだわった、唯一無二で空前絶後なベットシーンに仕上がっておりまして。
そこにあるのは「人形がエッチな場面を再現している」んじゃなく、本物のセックス。
生々しさはもちろんなんだけど、セックスという行為が内包するある種の滑稽さまで表現されていて、セックスが恋しくなる、、、そんな優しくて愛おしい名ベットシーンでした。
・・・あ、いや、エロオヤジ的なイヤラシイ意味じゃなく。

(なにせ60年以上昔の映画、予告動画がないので映画評論家の町山さんがこの映画について解説した音声をば貼っときます)
【ストーリー】
第2次世界大戦末期、敗戦の色も濃いドイツで、年端も行かない少年たちに召集令状が届き、祖国を護るべく7人の少年が勇んで守備位置の橋へと赴く。
しかし、せめて戦場から離れた場所に彼らを配置させたいという大人たちの思惑とは裏腹に、そこにアメリカ軍の戦車が現れた…。
反戦映画の傑作の誉れ高い作品。
守る意味のない橋を守る為に、散る必要のない若い生命が無残に散っていく・・・
確かに戦争の惨たらしさをこれ以上ないほど克明に描き切った反戦名作だと思うけれど、ここに描写されている不条理はなにも戦争に限ったコトではなく、現代にも通じる重々しさをもったテーマだと思う。
時代の風潮や雰囲気の濁流に、個が為す術なく飲み込まれていく。
今こそ観なければいけない映画、今観ることに意味のある作品でした。
以上、非ハリウッド系ながら割と真顔でオススメしたい地味系映画3種盛りでしたとさ。
「エネルギッシュで元気な爺さん」というイメージがボクの中では強かったんだけど、まだ76歳だったとは・・・
映画監督としては、まだまだ若すぎる死。
昨日はマイケル・チミノの訃報も。
今年は大御所やスターが次々と旅立っていくなぁ。。。
と、ハナシが湿っぽい方向に流れる前に、軌道修正。
映画監督繋がりで、毎度お馴染み落穂拾いなんかをば。
『さよなら、人類』

【ストーリー】
面白グッズを売り歩く冴えないセールスマンコンビのサムとヨナタン。面白グッズはなかなか売れないが、その際に彼らは、様々な人生を目撃する。
臨終の床の老女は、天国に持って行くために宝石の入ったカバンを死んでも放さない。フェリーの船長は、船酔いするため理容師に転職。現代のバーに突然現れるスウェーデン国王率いる18世紀の騎馬隊などなど・・・何をやっても上手くいかない人たちの哀しくも可笑しな人生模様を目の当たりにする。
このタイトルから想像できるハードなSFアクションとは180度真逆な、なんとも摩訶不思議な味わいのコメディー。
登場人物の全ては、「何かに困っている」人たちばかりで、仕事や恋愛などなど、思うように好転しない人生に疲れ切っているんだけど、その様子を上から目線で笑うんじゃなく、この映画はその哀しみに寄り添っているんだよね。
寄り添って、「なんか上手くいかない人生だけど、とりあえず笑っとこっか」と微笑んでくれる、そんな映画でした。
『アノマリサ』

【ストーリー】
カスタマーサービス界で名声を築き、本も出版しているマイケル・ストーン。私生活でも妻子に囲まれ恵まれた人生を歩んでいるかに見えたが、本人は自分の退屈な日常に不満を募らせていた。
そんなある日、講演をするためシンシナティーを訪れたマイケルは、そこでリサという女性に出会う。長い間、すべての人間の声が同じに聞こえていたマイケルは、「別の声」を持つ彼女と特別な夜を過ごすが…。
変人(ヘンな映画ばかりを作る映画人)でお馴染みのチャーリー・カウフマン最新作は、全編ストップモーションアニメの人形劇!
人生の不条理や愛を問うこの映画の注目ポイントはなんと、、、ベットシーン。
オフザケ極右人形劇『チーム☆アメリカ』でもパペットのベットシーン(というかド下品なファックシーン)が話題になったけれど、今作のそれは大真面目。
人形の動きから衣服の乱れ方、ベットのきしみの細部に至るまで徹底的に「リアル」こだわった、唯一無二で空前絶後なベットシーンに仕上がっておりまして。
そこにあるのは「人形がエッチな場面を再現している」んじゃなく、本物のセックス。
生々しさはもちろんなんだけど、セックスという行為が内包するある種の滑稽さまで表現されていて、セックスが恋しくなる、、、そんな優しくて愛おしい名ベットシーンでした。
・・・あ、いや、エロオヤジ的なイヤラシイ意味じゃなく。
『橋』

(なにせ60年以上昔の映画、予告動画がないので映画評論家の町山さんがこの映画について解説した音声をば貼っときます)
【ストーリー】
第2次世界大戦末期、敗戦の色も濃いドイツで、年端も行かない少年たちに召集令状が届き、祖国を護るべく7人の少年が勇んで守備位置の橋へと赴く。
しかし、せめて戦場から離れた場所に彼らを配置させたいという大人たちの思惑とは裏腹に、そこにアメリカ軍の戦車が現れた…。
反戦映画の傑作の誉れ高い作品。
守る意味のない橋を守る為に、散る必要のない若い生命が無残に散っていく・・・
確かに戦争の惨たらしさをこれ以上ないほど克明に描き切った反戦名作だと思うけれど、ここに描写されている不条理はなにも戦争に限ったコトではなく、現代にも通じる重々しさをもったテーマだと思う。
時代の風潮や雰囲気の濁流に、個が為す術なく飲み込まれていく。
今こそ観なければいけない映画、今観ることに意味のある作品でした。
以上、非ハリウッド系ながら割と真顔でオススメしたい地味系映画3種盛りでしたとさ。